ロシア生活ーРусская жизньー

海外旅行の体験やロシアのニュースなどをシェアしていきます。

【コロナウイルス】なぜロシアの感染者数増加に歯止めがかからないのか?

昨日4月28日にプーチン大統領は各州知事に対して

"ロックダウン期間の延期""延期後の段階的な規制の緩和"を求めた。

過去の記事にも書いた通り、今月の中旬からの感染者数の増加には

目を見張るものがある。

 

↓詳しくは過去の記事を参照のこと

kazukirussia.hatenablog.com

 

具体的には一日当たり5000~6000人程度の感染者増で、

主としてモスクワ、サンクトペテルブルグ、ニージェノブゴロド州を筆頭に

感染者数の増加が見られる一方で、感染者数の少ない、例えば私が住んでいる

カリーニングラード州のような州も多い。これはロシアの国土の大きさの問題か。

 

しかし、ここで一つの疑問が生じる。

「なぜ規制が厳しいモスクワやペテルブルグなどの大都市での感染」

が止まらないのか。。。

 

モスクワではとりわけ3月の末には完全なロックダウンが始まり、

外出時のコードの提出の義務化などかなり厳しい措置が取られている。

感染拡大の原因はコロナに対する意識の低さ

先の記事にも書いた通り、ロックダウン当初のロシアの状況は、

お世辞にも意識が高いとは言えず、さながら普通の休暇を過ごしているようだった。

BBQをしたり海に行ったり、他にも海外旅行から帰ってきて捕まったロシア人もいるようだ。

 

もちろん、ロシア国内には様々な民族がいるし、

一口に「ロシア人」とは言っても白人も居ればアジア系の人もいる。

どちらかというと、アジア系やアラブ系の顔つきの人の方が多いかもしれない。

(これは意外かもしれないが、典型的な金髪で青目のロシア人はそれほど多くない。)

 

今、ロシア各地でロックダウンの早期廃止を求めたデモが多発している。

いわく、行動が制限されることや経済的に困窮していることが主なデモの動機のよう。

 

ロシアには中央アジアからの出稼ぎ労働者が、

ロシアのストリートフードである"シャウルマ"やレストラン経営をして、

それから稼いだお金を本国にいる家族に送金するパターンが多い。

 

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ロシアのストリートフード"シャウルマ"

彼らはその稼ぎが無ければ家族を養えないどころか、

自分たちの生活が危ういので、積極的にこうしたデモに参加している。

 

彼らの行動は"悪"だろうか?

私が思うに彼らは"悪"でも"善"でも無く、

ただ単に自分たちの生きる権利を主張しているだけだ。

日本でも今盛んな議論だと思うが、

「保障無き自粛は死を招く」のは当然だし、

ロシア政府も一般の人、経営者に対して手厚い保障をすべきだ。

 

もちろん、全く保障が無い訳ではない。

 

ロシアでは医療従事者に対しての保障を行っている。

また、それに付随した検査数の厳格化と感染者数の隔離体制を整備している。

ここ最近の感染者数の増加は検査数増加という背景があるのかもしれない。

そういえば今日の海外ニュースを見ていたらトランプもそんなことを言ってたなあ。

「我が国の感染者数の爆発的増加は我が国の検査体制の優位性を表している」

みたいな。。。物は言い様なんだな。。。

 

ロシアの自粛期間の延長は来月の11まで。

それ以降は各州知事の判断で徐々に規制緩和は行われるみたい。

次回の規制緩和を願って。。。

 

次回のブログに続く。

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【映画評論】Fight club (1999年)-コロナ自粛につきNetflix に常駐-

*まえがき

 

つい先週、大学院の授業で映画評論の授業があり、

「Fight club」 という映画を鑑賞したので、ここにその感想を記しておく。

不眠症であり、精神病?(詳しくは不明)を患っている主人公が、

どのようにして"Fight club"を創設し、自己実現を果たしていったのかを描く。

最後まで読めない展開ブラットピットの肉体美に感動w。

 

Постер фильма

 

*あらすじ

物語は椅子に縛り付けられ、男に脅されている主人公の回想から始まる。

男は長年"不眠症"に悩まされていた。

しかし、医者に相談しても「もっと重篤な患者はいる」とあしらわれ、

代わりに治療のための集会への参加を勧められるだけだった。

 

週に二日ほどある集会で、彼は自分の居場所を見つけることが出来た。

集会で知り合ったボブはかつてボディビルダーとして活躍していた大男だ。

しかし、甲状腺がんを罹患したことで彼の体内のホルモンバランスが変化し、

彼の胸の上には立派なおっぱいが出来上がってしまうw。

主人公は彼と抱き合い、自分の不安を打ち明けることで、

心理的な安らぎを得ることができ、束の間の"休息"、つまり睡眠をとることができた。

 

その後、集会にはある女性が参加するようになった。

彼女の名前はマルロー作中で鍵を握る人物になる。

Marla Singer, Fight Club in 2020 | Fight club marla, Helena bonham ...

 

主人公にとっては彼女の存在は目の上のタンコブで、

彼女のせいで唯一の安らぎの場であった集会での時間が悪夢へと変わった。

 

ある時、教会での集会で彼はマルロに話しかける。

 

「君のせいで迷惑している。頼むから俺の居ない日に会に参加してくれ!」

 

彼女はしびしぶ了解し、それを口実に彼女から連絡先を聞くことに。

なーんだ。"迷惑してる"っていうのはつまりこういうことだったのかw。

 

その後も主人公は不眠症に悩まされ、更に症状が悪化していった。

目を覚ますと飛行機で別の街に着いているといったこともざらだった。

ある時いつも通り飛行機に搭乗していると、石鹸売りだと言う男"テイラー"に合う。

2人は何となく会話をし、主人公は彼から名刺を受け取る。

 

飛行機から降りて主人公は自宅に着いたが、

自宅に着くと不運なことに自宅が全焼。

 

絶望しながらも飛行機でテイラーという男から名刺を貰ったことを思い出し、

彼に電話し、行きつけのバーで待ち合わせすることに。

 

バーに着いてお酒を飲んで仕上がったテイラーは何故か

「殴り合いをしようぜ」と主人公に提案。

主人公も何故か乗り気「いいアイデアだな」と誘いに乗る。

 

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その後、帰る場所の無い主人公はテイラーの家に住まわせて貰うことに

テイラーの家はおんぼろの一軒家で周り住んでいる人間は居ない。

雨の日には屋根から雨漏りするし、地下には常に水は溜まっているしで、

基本的に普通の人間が住めるような環境では無かった。

 

しかし、テイラーという親友を得てからの主人公はまさに怖いもの無し。

毎週金曜日にはバーに集まり殴り合いの喧嘩をし、

時間が経過するにつれて主人公の服装や所作に変化が出てくる。

普通の、いやむしろ中々良い仕事場で働いていた主人公であったが、

歯が折れ、顔がアザだらけになってもそれを気にも留めなくなっていた。

 

その後、テイラーと主人公は"Fight club"という喧嘩の地下組織を開設し、

毎週金曜日にはそこでメンバーたちと集まり、喧嘩に明け暮れることに。

このクラブにはいくつかの規則があり、簡単にまとめると以下の三点。

  1. クラブの存在について口外しない。
  2. 喧嘩には勝ち負けは無い
  3. クラブでやっている活動について詮索しない

といった内容で、メンバーはウェイターや警察官、会社員など、

様々な社会グループから参加していた。

 

そんな時、電話マルローから電話が掛かってくる。

マルローのことを気になっていた主人公だったが、

そのことを認めていなかった彼は電話の受話器を置く。

しかし、この時に不可解なことがあった。

一日間自分が何をしていたのかの記憶が無く、

何故かテイラーの部屋からマルローが出てきたのだ。

 

「どういうことだ。確かに俺は受話器をあそこに置いて。。。」

・・・彼の中で全て合点がいった。

 

主人公が受話器を置いた後、

その様子を見ていたテイラーは受話器を取り、

マルローの居場所を聞き出してから事に及んだのだ

その後テイラーは頻繁にマルローを家に呼び込むようになる。

自分に正直になれない主人公は

彼女のことを自宅に頻繁に招き入れ、

彼女と事に及ぶテイラーに対してイライラを募らせながらも、

何も出来ずに傍観していた。

 

日々の退屈な生活から解放してくれるクラブの運営を

心から楽しんでいた主人公ではあったが、

クラブの運営費が問題になってきた。

当座のところ"無料"でやってきたクラブだったが、

そろそろ活動規模を拡大したいと考えていた。

 

そんな時、何を思ったのか主人公は自分のボスの部屋に行き、

自分に職場にあるpcと機材の持ち出しとテレワークを認めてくれと頼む。

(ロックダウンの今の世の中じゃテレワークの方が一般的ですけどね)

またその際、「それが出来ないようならあんなの秘密をばらす」と脅す。

 

もちろん「そんなことはできない」と却下し、クビを宣告するボスだったが、

主人公は「そっちがその気ならこちらにも考えがある」と何か意味深な様子。

すると彼はいきなり自分のことを殴り、事務所を滅茶苦茶にする。

駆け付けた警備員が見たのはネクタイを掴む上司と血だらけの主人公の姿。

見ただけではどちらに非があるのかは明白だった

 

そんなこんなで不労所得と機材を得た二人は

クラブを使ってより大胆な作戦に打ってでる。

 

例えば、毎週金曜日のクラブの終了時に"指令"として、

高級外車をハトのフンまみれにしたり、バットで車を壊したりと、

段々と"指令"の内容もエスカレートしていった。

 

彼らの活動は恐れることを知らず、

クラブの摘発を宣言した警察署長をトイレで拘束して

「これ以上クラブを詮索したら金玉切るぞ!」と脅したり、

街のモニュメントを破壊したりもした。

 

クラブの活動拠点はバーの地下から二人の自宅にも及び、

さながら軍隊のような規律でメンバーを統率していった。

その様子を心配した主人公であったが、テイラーの行動力に

押されて何も言えないし、規則③のせいで彼が何をしたいのかも聞けずじまい。

 

そんな中、テイラーが忽然と姿を消す。

 

正直、クラブの活動内容と将来について何も知らない主人公は、

自宅で居座るメンバーといつ終わるのかもわからない生活を続けることに。

しかし、途中から参加していたボブが警官に撃たれて死亡。

Then and Now: Photos of the cast of Fight Club 20 years later ...

ショックを受ける主人公だったが、

メンバーたちの反応は冷淡。むしろ組織のために死ねて幸栄だと言わんばかり。

友達を失った主人公が「人殺し!」と叫ぶが、もはや誰の耳にも彼の言葉は届かない。

そんな時、テイラーの寝室に数多くの旅券を見つけ、彼を追って飛び回る。

しかし、そんな中で不可解な状況に何度も出くわした。

自分は初めて来たつもりの土地でもみんな自分のことを知っているのだ。

頭が混乱してきた主人公であったが、よくよく自分の行動を思い返してみると

テイラーなんてどこにも居なかった気がしてくる。「どういうことだ。」

 

マルローにこのことを相談してみると、

「あなたは病人よ。早く医者に診てもらって!」との一言。

ここでマルローの登場シーンでの彼女と主人公のやり取りを

見直してみると「なるほどな!」と思うシーンがいくつもある。

例えば、テイラーと主人公は会話しているシーンで、

マルローはしきりに「誰と話しているの?」と質問しているし、

マルローが彼の家に来た際にも「テイラーは消えた」と言った主人公に対して、

訝しげに「どういうこと?」と聞き返し、怒って帰るシーンなど。

作中で彼女は「薬中で馬鹿な女」というレッテルが張られているのと同時に、

主人公の見ている妄想と現実を繋げる橋渡し役になっている。

(実は作中の登場人物の中でマルローが一番まとも説)

つまり、テイラーは主人公の2人目の人格で、

主人公はずーっと存在しない相手と会話し、

クラブの運営、犯罪行為の斡旋などをしていたのだ。しかも無自覚で。

 

最後のシーンでは、

最初の回想シーンに戻り、爆破をしようとしたテイラー(以下第二人格)と

主人公が戦い(実際には自分で自分を殴りまくっているw)、最終的には

テイラーに敗北し、拘束されている。

しかし、何とかテイラーから拳銃を奪った彼は、

テイラーからの呪縛から逃れるために自らに引き金を引く。

 

するとテイラーの姿は消え、爆破準備から戻ってきたクラブメンバーと会う。

そこにマルローも彼らに連れてこられ、最後は周辺のビルを爆破している

光景を見ている二人の姿で映画が終わります。

 

*まとめ

結局の所、この映画は何だったのでしょうか。

もしかしたら全てが精神病者の戯言だったのかもしれないし、

本当に自分が作り出した人格が犯罪組織を作り、

社会に対する鬱憤を晴らしていたのかもしれません。

主人公は作中で頻繁にテイラーに反抗していましたが、それは本心でしょうか?

もし"道徳"や"規則"、"法律"なんてものが無かったら、少なからぬ人々が

テイラーのような軍隊を作り、自分の喜びのために行動しようとするのではないか?

主人公の二重人格に対してはそのようなことを感じた。

また、クラブのメンバーについて。

彼らは本当に生活に困っていたり、社会に不満があったのでしょうか?

どちらかというと"退屈な日々"や"理想と現実の乖離"に対して何となく不満を

抱いていた人々が"非日常"を提供してくれるクラブに魅力を感じ、

結果的にクラブでの活動が自己実現の手段になってしまったのではないでしょうか?

彼らの行動はもちろん違法行為だし、許されませんが、

今の社会にもしこのような"クラブ"が存在していたのなら、

やはり多くの人々がこれに熱中して、洗脳され、犯罪に及んでしまうのではないか

と色々と考えさせられました。

 

次回のブログに続く。

 

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【海外ドラマ評論】Black mirror シーズン3 エピソード1の評論 *ネタバレ注意

*まえがき

最近私はひょんなきっかけでBlack mirror という

イギリスの人気テレビドラマを鑑賞する機会がありました。

 

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メインヒロインのレーシャ

 

この作品は2011年から放送され現在ではシーズン6まで続く

近い将来「テクノロジーの進歩」がもたらしうる負の側面と

それと同時に人間が持つ残酷な側面を風刺的に描いた作品である。

 

今回紹介するシーズン3のエピソード1は、

現在進行形で問題になっている人々の他人に対する

「無関心」と「自己肯定感の欠如」など

正に「現代病」などと揶揄されるような現象を描き、

それでも"人間"は「人間らしくある」ことに

固執する生き物であることを暗示するような内容でした。

 

突然ですが皆さんに質問があります。

 

みなさんは「インスタグラム」や「twitter」等のSNSを利用していますか?

 

もし利用しているなら、あなたもこのドラマの世界の登場人物と同じような

価値観で既に行動しているかもしれません!

 

皆さんは本当に"自分の意思で"行動をしていると自信を持って言えますか?

 

*ドラマのあらすじ

 

物語は主人公であるレーシャが

鏡越しに笑顔の練習をしているシーンから始まります。

ドラマで中心的な役割を担うのはスマホを使った"レーティングシステム"

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今作のメインテーマである人々のレーティングシステム

主人公のレーシャは年のあまり離れていない弟と二人暮らし。

弟はゲームばかりし、レーティングシステムのことなぞ気にも留めない様子。

対して主人公のレーシャは自分のレーティングを良くすることに熱中し、

仕事中やランニング中ですらも他人からの評価を気にしているようでした。

 

この二人の対称性が後になって物語に解釈を与えてくれます。

 

主人公の毎日はとにかく忙しく、肩身が狭いように見えます。

というのも、レーシャは常に他人の行動をレーティングし、

自分のレーティングを良くするために、例えばカフェで食べたくもない

クッキーを注文してより高レーティングの人たちに媚びるような投稿をしたり、

エレベーターで会った婦人の投稿を意味もなく誉めそやしたりと、

この世界では"自分の意見を持つこと"が完全な悪であるかのように描かれています。

 

また、レーシャの職場ではこんなシーンもありました。

 

とある男性がレートを落とし、

職場の同僚は彼に関わらないようになったのです。

主人公のレーシャは根はいい人なので

彼の作ったスムージーを受け取りました。

しかし、彼女の同僚はレートの低い彼と接触を持った

彼女に対してまるで法でも侵したかのような

まなざしを向けます。

 

その反応を見て彼女は彼らに言い訳をしますが、

このシーンも彼女の中の本当の自分と今の自分との乖離、

また彼女の他者依存な行動原則が見えてきます。

 

その後、彼女は引っ越しをするために内見をしに行きました。

しかし、担当者には無常にも「お客様のレートでは割引を受けられませんね」

と言われ、彼女はここでも"レートの大切さ"を再認識するのでした。

入居に必要なレートは4.5で、その時点での彼女のレートは4.2でした。

 

レートの重要性を認識した彼女は、

レートを向上させるためのコンサル会社に行きました。

担当者いわく、

「レートを0.3上げるためにはより高レートの人々の交流する必要性がある」

とのことで、目安となるレートアップの実現期間は約半年と宣告されます。

しかし、レーシャは出来るだけ早く、それも現在の家を出るまでの期間でレートアップ
(作品中には描かれていませんでしたが、その月の月末まで?)

を試みることになります。

 

レーシャは以前にも増してご近所に挨拶をし、

カフェに通って他人のレート上げに協力し、

エレベーターで毎日のように顔を合わせる婦人にも愛想を振りまきました。

その途中、カフェで職場でレートが低かったアントンと鉢合わせ、

「レートが低いとカフェに入れずレートを挽回できない、助けてくれ!」

と懇願されますが、自身のレートの低下を恐れた彼女は彼を無視します。

この際に彼からレートを下げられ、そして必死に愛想を振りまいていた

婦人からもレートを下げられたして、何ともならない現状に

レーシャは不満を募らせます。

 

職場でレート上げのための投稿内容について考えていた彼女は、

旧友であり、レートが4.5以上のナオミが昔作ってくれた"雑巾人形"

の写真を投稿することにしました。

(なぜ日本人とのハーフ?設定なのかは不明笑)

 

すると今まで連絡の途絶えていた彼女から電話がきます。

 

「私、今度イケメンの彼と結婚するからスピーチをお願いできる?」

 

何とも嫌な感じで、なぜレーシャにスピーチをお願いしたのかがわかりませんが、

推察するに、自分の現状を羨ましがる人々を尻目に幸せを噛みしめたかったのか。

その証拠に、他の人から連絡が来るとすぐに彼女との電話を切断し、

まるで彼女のことなんて気にも留めていない様子でした。

しかし、ナオミのことが好きで、尚且つ自分自身のレート向上に繋がると

感じた彼女は結婚式でスピーチをすることを快諾します。

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豪邸にイケメンの彼氏、何でも手に入れている旧友ナオミ

この電話の様子を近くで聞いていた弟はこのことに猛反対

 

「姉さんはあいつが学校で姉さんのことを虐めたことを覚えてないのか!」

 

その後二人は口論になります。

 

弟は彼女のことを思って、

「どうせ彼女は姉さんのことを晒し物にして嘲笑いたいだけだ!」

「もう元の姉さんに戻ってくれよ!姉さんがこのレーティングに固執する限り、

 姉さんは永遠に苦しむことになる。姉さんの目指している未来に待っているのは

 "偽善の笑顔"と"建前だけの世界だ。いい加減目を覚ましてくれよ!」

 

おそらく弟のこの発言は図星だったのでしょう。

 

彼女はムキになって、

「あなたには私がどんな気持ちで頑張っているのかわからないでしょうね。」

「だってあなたのレートは3.4の糞野郎、私は4.2なのよ!」

「彼女たち(ナオミや他の高レート者)の人生がいいに決まっているじゃない!」

と弟のことをバッサリと切り捨てます。

 

その場でレーシャは弟と喧嘩別れし、急いで飛行場に向かいました。

 

しかし、道中で弟からレートを下げられ、

偶然ぶつかってしまった通行人にもレートを下げられ、

なおかつタクシー運転手にもレートを下げられた彼女は

4.2未満のレートになってしまいました。

 

たかがレートだと思うかもしれませんが、

この世界ではそれが社会における様々なサービスや人々の態度を決定してしまいます。

 

空港についた彼女は受付で

「レート4.2未満の方の搭乗は許可できません」と

空港まで来たのに搭乗を拒否されてしまいます。

それに怒った彼女は思わず汚い言葉で罵ってしまいます。

するとスタッフは警備員を呼んで彼女に"罰則"として

彼女のレートを半分にし、マイナスの評価を1日間二倍にする

という厳しい処置が取られます。

印象的だったのが、列に並んでいた客の反応で、

彼らは決して彼女とコミュニケーションをとりませんが、

彼女の言動を見て彼女を評価します。

 

仕方が無く車で移動することになった彼女は、

レンタカー屋でも現実を思い知らされることに。

なんと「レート4.0以上」と「それ未満」のレーンがあり、

また同じレーンでもレートによって借りられる車のモデルが変わる仕様。

 

もちろんレートが大幅に下がっている彼女に提案されたのは

めっちゃおんぼろでいつその車が道を走っていたのかもわからないような車でした。

 

選択肢の無い彼女はその車で結婚式場に向かいますが、

不幸なことに途中で"充電切れ"’(この世界では全て電気自動車)。

充電スタンドで充電を試みますが、

誰も彼女の車の充電に対応したプラグを持っていませんでした。

(何という不幸の連鎖笑)

 

仕方がなく徒歩でヒッチハイクを試みるも、

レートが低い彼女を乗せる車が現れないどころか、

彼女のレートを下げていきます。

(これはおそらくただの憂さ晴らしじゃないでしょうか。)

 

そんな時レートの恐ろしく低い

スーザンという年配のダンプの運転手が救いの手を差し伸べます。

「困ってるようだね。乗りな!」→私:「かっけー。惚れるー。」

 

とはいえ、レートの恐ろしく低い相手だったので、

内心喜びつつも、不審に思って一度は提案を断るレーシャ。

しかし、背に腹は代えられないと乗車させてもらうことに。

Nosedive' and liberation - Rahul Dandekar - Medium

 

車内ではスーザンが昔今のレーシャのようにレートに固執していたこと。

しかし、レートは自分の夫の人生を助けてくれなかったことから、

自暴自棄になってレートとは無縁の生活を始めたことなどを話しました。

 

「こんなレートで世間は私のことを不幸な人だと揶揄するかもしれないが、

 私はそうは思わない。正直な言葉や態度で人に接することが出来る今が

 一番幸せだと思うよ。」と語る。

 

レーシャは「あなたは一度全てを手に入れたからそう思うのよ。」と反論。

しかし、スーザンから「あなたは一体何が欲しいのか?」と問われると、

「わからないわ。ただ・・・何となく憧れるし、それが私の理想なのよ。」

この受け答えがこの物語の核心であり、最も重要な問題提起だと思いました。

 

つまり、この世界では皆(ただし弟やスーザンのような人々も少なからず存在)が

レーティングシステムに固執しているが、具体的に"何を"求めているのかを

当の本人たちも忘れているのか、そもそも"目的"なんてどこにも存在しないのです。

しかし、この世界ではレートによって物質的な豊かさや杓子定規の"幸せ"が保障

されている。

 

作中の登場人物は本質的には何も変わらない。

 

人は皆"幸福"を求める権利があります。

ただ、人それぞれ"幸福"の持つ意味合いは異なるし、

それを見つけるのにはとても時間が掛かる。

ただ、誰しも自分の生活を良くしたいと思うし、

既に良い生活を送っているのならそれを維持したいと思うのが本能です。

この誰もが持つこの本能を保障するのが作中の"レーティングシステム"であり、

人々はそれによって生み出される"幸福の理想形"を自分の幸福だと錯覚することで、

自分自身を欺いているのではないでしょうか。

 

その後スーザンは結婚式場のある街までレーシャを送り、

レーシャは結婚式場へと向かいます。

しかし、その道中でナオミから電話が掛かってきます。

今のあなたのレートでは式場に入れることが出来ない。」

「早く家に帰って頂戴!」などと言われる始末。

こうなったら意地でも式場に辿り着いてやると、

式場に向かいますが至る所に検問所があり、レートの低い人は通過できません。

仕方がなく車を乗り捨てたレーシャは倒れながら、

それこそ泥だらけになりながら式場に到着。

 

式場では既に挙式が始まっていましたが、

そんな所に泥だらけのレーシャが乱入し、

自分が用意してきたスピーチとナオミとの思い出について語る。

スピーチ上でナオミが彼女と仲良しでずっと一緒に居たが、

あるきっかけからナオミが彼女を虐めることになったことなど、

普段なら口に出さないような汚い口調でナオミを罵ります。

 

その後警備員に追い出されますが、最後の最後までレーシャは

「ナオミ、あなたのことを愛している。」と大声で叫びながらその場面が終わります。

本当にレーシャがナオミのことを好きだったのかははっきりしませんが、

職場にも彼女との思い出の"雑巾人形"を持参し飾っていたことから、

100%彼女との再会を自分のレートや評価のために利用するつもりだったとは

考えにくいと思います。

 

おそらくレーシャにとってのナオミは永遠の憧れであり、憎しみの対象だった。

レーティングシステムの行き着く先はナオミのような人生であり、

彼女も彼女の人生を目指していたが結局はそこ辿り着けなかった。

 

しかし、レーシャもナオミも、もし近しい人間が亡くなり、

レーティングシステムが自分のたちの人生にとって

何の意味なかったと自覚する時が来たら、

この二人も昔のように純粋に自分たちの意見で向き合える日がくるのかもしれません。

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挙式に乱入しスピーチをするレーシャ

最後の場面では、

拘置場で対面した男性とひたすら罵倒し合っていました。

私の目には罵り合っている彼らの姿こそが彼らの本当の姿であり、

表現したくても出来なかったことを開放しているように見えました。

 

*まとめ

 

いかがでしたでしょうか?

テクノロジーの発展が私たちの生活にどう影響を及ぼすのか。

また、描かれていた状況は今の社会にも十分対応する問題ばかりだったと思います。

例えば、インスタグラムやツイッターフェイスブックなどのSNSを利用していると、

「いいね」の数で自分や他人の投稿の良し悪しを判断したり、

「いいね」獲得するためにやりたくも無いことをしてしまいませんか?

こうした状況は全て"他人依存の自己肯定"であり、

今作品におけるレーシャと同じような心理的な状況に陥っていると思います。

「まだ」こうしたSNSの影響はネット上だけで完結し、

実生活にはそこまで影響力はないでしょう。

 

しかし、昨今のコロナウイルスの蔓延は確実に自国主体の全体主義を加速させ、

近い将来国民の行動を常に国が監視し、管理する時代が来ると思います。

実際にロシアでは国民にチップを埋め込んで行動を監視する社会を

プーチンを始め側近の人々が推奨し始めています。。。

その前段階としてのSNSの普及は人々に他人への評価(いいねボタンによる他者判断)に

対する人々の抵抗感を無くし、もし作中と同じようなレーティングシステムによる管理

が導入されても抵抗が無いように私たちは教育されているのではないでしょうか。

 

今作品を鑑賞して、近い将来訪れるであろう"管理社会"の可能性を見た気がしました。

 

次回のブログに続く。

 

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【コロナウイルス】今日のロシアの状況

*4月26日時点のロシアにおけるコロナウイルスの状況

 

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以下は本日4月27時点の最新のニュースから引用しました。

PNA Новости は元国有通信会社で、現在でもロシア最大の通信社。

МОСКВА, 27 апр — РИА Новости. За сутки в России выявлено 6198 заболевших COVID-19, сообщает оперативный штаб по борьбе с распространением коронавируса.
Большинство случаев зафиксировано в Москве (2871), Подмосковье (638), Нижегородской области (207), Республике Дагестан (167) и Санкт-Петербурге (161). Уточняется, что 2693 человека из новых зарегистрированных — контактные и без симптомов заболевания. Умерли 50 пациентов.
Накануне сообщалось о 6361 новом случае и 66 летальных исходах.
Таким образом, общее число заразившихся коронавирусом в России достигло 87 147 человек (большинство — в Москве), из них 794 погибли, 7346 вылечились.
 

 *日本語訳

27日モスクワ(つまり中央省庁)は昨日ロシア国内で

新たに6198人のコロナウイルス感染者を発表した、とРИА новости は伝えた。

 

感染者の大半がモスクワで確認されており(2871人)、

次いでモスクワ郊外で(638人)、ニジェゴラド州内で(207人)

ダゲスタン共和国内で(167人)、サンクトペテルブルグで(161人)と続きます。

また、感染者のうち2693人が無症状で感染が発覚。

50人が死亡しました。

 

一昨日には6361人の感染が発覚し、66人が死亡しています。

 

ロシアでの感染者数の合計は87147人となり(その大半がモスクワで確認)、

794人が死亡。7346人が回復に至っています。

 

ということで、現時点でロシアは感染者数で世界で10番目に位置しています。

 

こんな状況なので、ロシアの大都市圏などではロックダウン状態が続くでしょう。

なおかつ、現在ではモスクワと一部の都市でしか行われていない、

外出時のコード提示の義務化やより厳しい外出規制が予想されます。

 

幸いなことにカリーニングラード州では

4月27日から州内の移動規制の緩和と商店の営業が許可されることに。

また、木曜日からは美容院、来月の4日からは保育園の営業が再開する

見通しなので、ここカリーニングラード内における経済活動が徐々に再開しそう。

まあ相変わらず国際便の停止や国境封鎖は続いているので、

心配はつづきますが、それでも事態の回復の兆しが見えるのは希望になります。

 

私も臨時の帰国便が手配されるまでもう少し現地で頑張りたいと思います。

 

次回のブログの続きます。

 

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留学なんてしない方がいいよって話。


まえがき                             

 

誰もが人生に一度は夢にみるであろう「海外留学」。

私自身が留学中の身として、

今回のブログではあえて留学の負の側面に焦点を当てて書いていこうと思う。

 

まず、皆さんが考える「留学」のイメージとしては、

「外国人の友達が増えて楽しい」とか「かけがえのない体験」が出来るとか

そういった良いイメージが先行して、負の側面を考えていないのではないだろうか。

 

 

断言します。

耳障りの良い情報は基本的に全て嘘です。

 

 

少なくとも、

  1. ミュニケーションが取れる程度の語学力

  2. 現地の文化や人との付き合い方の理解

  3. 1か月以上の滞在期間

 

 

が無いと「留学が楽しい!」と心底思えるレベルに達しません。

(kazuブログと周りの留学経験者の体験談より)

 

では次に、私がロシア留学中に一体何を体験し、

そして上述したような点がなぜ留学成功の鍵なのかを説明していきます。

 

私の海外留学体験                         

 

私は大学3年生の夏休みを利用して、ロシアの飛び地"カリーニングラード"

ロシア語のサマースクールプログラムに参加しに行きました。

↓下記のブログに詳細な経緯が書いてあります。

kazukirussia.hatenablog.com

 

正直それまでにも海外旅行に行っていたし、慣れているつもりでしたが、

「留学」となると期間も長いし、未知の国ロシアということもあって(笑)

めっちゃ緊張した状態でカリーニングラードへと向かいました。

f:id:kazukirussia:20200426215246p:plain

カリーニングラードの中心地のようす

 

空港につくと当たり前のことですが、

"アジア系の顔つきの人"がほぼ居ないことにビックリ!笑

 

もちろん、中央アジアからの出稼ぎ労働者も多いので、

完全にそいうった人たち(私を含めて)はゼロではないのですが、

絶対的に少ないのです。

 

現地ではあちらの大学生の"タイル"が私のチューターとなり、

私のことを案内してくれました。

 

彼は日本のことが好きなようで、

色々と私に日本文化やアニメについて英語で質問してくれたのですが、

その当時の私は"外国語を話す"という行為に対して凄くコンプレックス

を抱いていて、質問の答えがわかっていても外国語の単語が出てこないとか、

言ってみれば"恥ずかしさ"でなかなか会話ができなかった記憶があります。

 

そんなこんなで、サマースクールが開講し、

クラス分けの結果、インド人、ドイツ人と一緒の

いわゆる"初心者コース"に割り振られ、そこで2か月の留学生活を過ごしました。

 

ちなみに、他にサマースクールに参加していたのは、

チェコ人、ポーランド人、トルコ人ルーマニア人など、

本当に様々な国から生徒が参加していました。

f:id:kazukirussia:20200425221135p:plain

サマースクールで知り合ったトルコ人

 

寮ではクラスメートのドイツ人と一緒になり、

一緒に生活していましたが、このドイツ人が結構やんちゃなタイプで、

それもそのはず?!両親がコロンビア人で親子二代で

インターネットビジネスを展開しているようでした。

だから、授業には遅れてくるし、夜は毎晩クラブに入り浸るわで、

正直まともに部屋で会話した記憶がありません(笑)。

 

留学生活で苦労したこと                      

 

ともあれ、クラスや日々のイベントなどでみんなが仲良くなっていく一方で、

私はというとまともに彼らとの会話に入れずにいました。

 

というのも、まだまだ英語での会話に慣れないし、

ロシア語力なんて本当に論外といってもいレベルだったので、

間違いを覚悟で話しかければいいのに"黙って"しまっていました。

 

言い訳を考えればキリが無いですが、

その時の自分は「きちんとした文法や文で話す」ことを重要視するあまり、

何も自分から表現できずにいました。これでは元も子も無いですね(笑)。

とにかく大事なのは自分から"能動的に行動すること"

いわゆるコミュ力が最も重要なスキルなのだと今ならそう思います。

 

そういった意味でも、最低限相手とコミュニケーション取れるくらいの

語学力と会話を繋げるための最低限の文化的な理解が必要なのです。

 

その後、数々のイベントを通じて、

みんなとも少しずつ仲良くなってきてわかったのは、

「どこの国の人も自分の意見を持って、それを主張することを当然だと思っている」

ということです。

 

いわく何かを主張しなければ意見が無いと思われ、そのままスルーされてしまう。

「相手の考えを読んで、リアクションする」ことはあちらの文化ではありません。

 

確かに、私は幼少期から人見知りな性格なので、

そのせいで自分の意見が言えなかったのかもしれません。

しかし、未知の環境で慣れない言葉を使って本当に自分を表現できますか?

これは考えているよりもずっと難しいことだと思います。

 

留学生活で困るのは自分の意見を言うことだけではありません。

それぞれの文化圏にはマナーや規則があることを忘れてはいけません。

例えば、ロシアの場合にはあまり規則らしい規則はありませんが、

会話では基本的に相手のことを褒めちぎります。

褒めるといっても見た目だけでなく、

相手の行動や性格などありとあらゆることを褒めちぎります。

私はそんなロシア人が大好きなのですが、このことをしらないと、

疑り深い私はすぐに「この人ずっと褒めてくるけど内心どう思ってるんだろう」

手放しには喜べない所があります笑。

 

自分が相手のことを褒める時もそうで、

見た目のことは面と向かって褒めるけど、

あまり内面については面と向かっては"恥ずかしくて"褒めないよなあとか。

 

しかし、この文化を理解してからは何となく

ロシア人との会話は楽になっていったし、

他の外国人に対しても"独自の基準"で会話や行動をしていったら、

自分の"恥ずかしがり屋"な性格も何となくある種の"強み"に思えてきて、

2か月後には結構円滑にコミュニケーションが取れていました(笑)。

 

しかし、裏を返せば私が留学を"楽しい!"と感じるまでは2か月必要だったわけで、

やはり留学は難しいし、慣れるまでに時間が掛かるものなんだなと再認識しました。

 

結果的に留学は成功しましたが、

「もっと事前に語学勉強していればなあ」とか、

「もっと早く心を開けていればなあ」とか反省を挙げればキリがありません。

 

まとめ                              

 

今回のブログでは留学の負の側面についてお話しました。

 

今後留学を予定されている皆さまには以上の3点

 

  1. ミュニケーションが取れる程度の語学力

  2. 現地の文化や人との付き合い方の理解

  3. 1か月以上の滞在期間

 

についてもう一度考慮した上で、後悔の無い選択をされることを願っています。

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サマースクール終了時に取った集合写真

 

次回のブログに続く。

 

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プーチンの前妻の生まれ故郷でのロックダウンの現状

皆さんこんにちは!

 

ロシア在住の大学院生兼ブロガーのkazuです。

 

以前のブログにも書いている通り、

私はロシアの飛び地であるカリーニングラード

外出規制を余儀なくされています。

 

↓ 参考までに過去の記事をどうぞ

kazukirussia.hatenablog.com

 

 

f:id:kazukirussia:20200426175035p:plain

街の中心にあるカリーニングラード大聖堂

この外出規制は日本の「外出自粛」とは異なり、

飲食店や商業施設の強制的な営業停止命令と

その他のスーパーやペットショップなどの営業時間の短縮など、

かなり規制の範囲と期間が厳しいものとなっています。

 

外出規制が始まったのは3月29日。

それ以前の段階から私が働いていた言語学校の営業も停止していました

また、学校に関しては15日の段階で全面休校に入りました。

 

外出規制後はカリーニングラード州内の街の間の移動も制限され、

この時から孤独なオンライン授業の毎日が始まりました。。。

 

外出規制下とはいえど食料品などは週に3日くらいのペースで買い出し。

 

最初の内は買い物することすらも控えていましたが、

「外出自粛疲れ」とでも言うのでしょうか。

日に二回の散歩と買い物が唯一の楽しみになりました。

("外出規制"が発令されてから約1か月後)

 

しかし、あまりに羽目を外しすぎて、

中央広場にある池で釣りをしている所を

警察に捕まり罰金15.000ルーブルを払った例もあるので、

あまり油断していると大変な目に合いそう。。。

(日本円で23.000円ほど)

 

自宅にばかりいて一番困るのは"運動不足"と"外食できないこと"でしょうか。

 

幸いなことに食料品は潤沢だし、買い物規制はないので自炊はできますが、

毎日毎食自炊ばかりしていると流石に飽きてくるし、やはり人との関わりが欲しい。

 

たまにオンライン授業やテレビ通話などをしてコミュニケーションは取りますが、

やはり私は「現実に対面でコミュニケーションを取りたい」という欲求が先行します。

 

また、こういう時に改めて感じるのは、日本人の外食依存でしょうか。

 

私は埼玉生まれの埼玉育ちで、高校と大学は東京にあったので、

都会で気軽に入れて、そこそこお腹を満たせる某〇屋とか吉〇屋などに

日々の活力を貰っていたタイプの学生だったので、

こういった状況になるとやはり自分は都会っ子で、

自炊などを母親に頼っていたんだなぁと反省。

 

そして、こんな状況がいつまで続くのだろうかと考えていた所にまさか朗報が!

 

なんと、29日から州内の移動が許可証無しで可能に!

これでようやく友人や彼女とも会える。。。

 

しかし、相変わらずロシア政府は国際便の停止と

国内便とモスクワ経由便に乗車した人たちに対する2週間の隔離など、

相変わらずのロシアの強硬姿勢。。。

 

日本に帰れる日はいつくるのか。。。

 

「臨時帰国便に関する希望者アンケート」

なるものに回答してみるも、あくまで"希望調査"なので、

すぐに帰国便が準備されるのかは不透明。

 

先月の28日に準備された帰国便も

その前日の27日に急遽予定されたもので、

 

私を含め多くの留学生は搭乗に間に合いませんでした。

 

不可解なのはこんなに厳しく取り締まっているのに

感染者数はロシア全土で日に6000人前後増え続けている点。

やはりロシアは広大すぎて取り締まりきれないのか笑

 

この事実に対する一つの説明としては、

「ロシア人の危機管理意識の甘さ」が根底にある気がします。

 

ロックダウン後の29日以降、

ロシア人のインスタグラムの投稿を見てみると

その8割前後がバーベキューや海、ハイキングなどの投稿。

 

カリーニングラードにある主要なビーチに向かう幹線道路は

大渋滞で本来1時間で着く所が3時間もかかったらしいです。

(ロシア人の友達から聞いた話。)

 

そんな現状があったからか、

州内の移動が禁止された訳ですが、

最近は道に出て散歩したり、子供を遊ばせている光景が増えた気がします。

基本的にロシア人は我慢することが苦手みたいです。

(まあ、自分も外を出歩いているので人のことは言えませんが)

 

ともあれ、ロシアはこういった現状なので、

早く日本に帰国できることを切に願います。

 

ただし、日本の、特に東京が安全だとは言い切れないのも事実。

看護師である私の母の話しによると、コロナ患者らしき人が居て、

そのことを保健所に報告しても「とりあえず濃密な接触は避けて」の一点張り。

もちろん検査はしないのでコロナ感染者には未カウント。

 

もうね、確実に報告されている人数の10倍前後はいると想定します。

(ただし、日本にいないので現状は正確には把握していません)

 

また、志村けんさん、岡江久美子さんなどの有名人の急逝のニュースも見ました。

他にも野球選手や芸能人など数多くの方が罹患されているようです。

東京で日に100人前後しか感染者が報告されていない状況で、

奇跡的に有名人ばかりが感染するなんてことがあり得るでしょうか?

 

ロシアの感染者数は4/26日現時点で74.588人で世界10位の感染者数になりました。

 

もちろん、ロシアの現状は最悪だと思いますが、

日本の現状も同じく最悪だと想定しています。

 

こんな状況下でも毎日規則正しく生活をして、

適度な運動と日光浴をすることが過度に自粛して

体力を落とすよりもより良い予防策であり、

ストレス対策にもなると思います。

 

世界中が早く元の状態に戻ることを祈ります。

 

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【海外生活】ロシアの飛び地で生活してみて

皆さんこんにちは!

 

ロシア在住の大学院生兼ブロガーのkazuです。

 

今回のブログでは実際にロシアで生活してみての率直な感想と

初めてロシアに来た時の印象についてを書いていこうと思います。

 

一番最初のブログにも書いたのですが、

私はもともとロシアが好きではありませんでした。

 

というよりも興味が無いし、

とにかくおそロシアの印象しかなかったので、

自分の人生の中で「ロシアに行って見たいな」とか「専門的に何か勉強したいな」

とは露ほども思ってはいませんでした。

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私のステレオタイプ:ロシア=プーチン、クマ、ウォッカetc

しかし、

2か月の中央アジア旅行を通じて感じた

「人の温かさ」や「ロシア語の魅力」というものを肌で感じ、

何となく惹かれるようになってきました。

 

とはいうものの、帰国後の数か月は何か行動する訳でも無く、

相変わらずゼミ活動やバイトなどに忙殺される毎日を送っていました。

 

転機が訪れたのは3年生の春。

 

履修を決めようと何となくシラバスを眺めていると、

なんと私の大学に「ロシア語初中級」の授業があるじゃないですか!

それまで大学の語学の授業には全く興味が無かったので気め留めていませんでしたが、

どうやら私の在籍していた大学にはロシア語を始め、アラビア語などのマイナー言語

(少なくとも日本の大学では学生たちから忌み嫌われているような語学笑)

の授業も充実していたみたいで、迷う暇も無く「ロシア語初級」の授業を選択。

 

授業には10数人くらいの文学部の生徒たちが参加していましたが、

他の選択必修の語学の授業の例に漏れず、1人また1人と居なくなっていき、

最終的には私を含め2人だけになってしまいました。

 

ロシア語の勉強自体は全く苦ではなく、むしろとっても楽しいものでした。

 

というのも、ロシア語の基本的な特徴として

「性数格変化(せいすうかくへんか)」という言語的な特徴があって、

名詞(男性・女性・中性形)によって形容詞も変化するし、

人称(私・あなた・かれらetc)によって動詞が変化します。

 

これだけ見ると、

 

「え難しそう。やーめた!」となりそうですが、

 

キリル文字と言われるロシア語のアルファベットは33文字だけなので、

非常に数が少なく、また発音もそこまで難しくないです。

私が面白さを感じたのはまさにこの格変化の部分で、

この一点は難しさでもあり、面白さでもあると感じています。

 

例えば、ロシア語で牛乳を表す単語は”молоко””で中性名詞なのですが、

美味しいを表す”вкусный”と"молоко"を組み合わせると

"вкусное молоко"となり、形容詞の語尾が名詞の性によって変わってきます。

だから、基本形が"ный"だとして他に二種類の形容詞の形があるのです。

 

こんな言語なので、例えば「何々が美味しい」と表現するのにも

長く考えないといけないし、他にも色々と考えるポイントがあるので、

最初の半年は本当に大変でした。

 

とにかく暗記をして、活用形のパターンを脳に染みこませていく。

 

こんな感じで初級の授業を履修し、ロシア文学等も暇なときに読んで行きました。

個人的には読みやすくて、面白いゴーゴリ「鼻」や「外套」がおすすめ!

岩波文庫から以上の二作品がセットで入っているものがあるのでぜひ笑。

 

ということで半年勉強して、ふと夏休みの期間が空いていることに気づき、

ロシアのサマースクールのプログラムを探してみると、

領土が広大なロシアなだけあって、プログラムがロシア各地の至る所にあり、

留学費用も個人なら二ヵ月で10万円程度だったので、

「せっかくだし、日本人が行かないような地で留学してみよう!」と

カリーニングラードにある連邦大学のプログラムに応募しました。

 

そして、いよいよ留学することになり、

期待に胸を膨らませながら、カリーニングラードへと旅立ちました。

 

次回のブログに続きます。

 

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現地で知り合ったトルコ人の友人