ロシア生活ーРусская жизньー

海外旅行の体験やロシアのニュースなどをシェアしていきます。

【映画評論】Fight club (1999年)-コロナ自粛につきNetflix に常駐-

*まえがき

 

つい先週、大学院の授業で映画評論の授業があり、

「Fight club」 という映画を鑑賞したので、ここにその感想を記しておく。

不眠症であり、精神病?(詳しくは不明)を患っている主人公が、

どのようにして"Fight club"を創設し、自己実現を果たしていったのかを描く。

最後まで読めない展開ブラットピットの肉体美に感動w。

 

Постер фильма

 

*あらすじ

物語は椅子に縛り付けられ、男に脅されている主人公の回想から始まる。

男は長年"不眠症"に悩まされていた。

しかし、医者に相談しても「もっと重篤な患者はいる」とあしらわれ、

代わりに治療のための集会への参加を勧められるだけだった。

 

週に二日ほどある集会で、彼は自分の居場所を見つけることが出来た。

集会で知り合ったボブはかつてボディビルダーとして活躍していた大男だ。

しかし、甲状腺がんを罹患したことで彼の体内のホルモンバランスが変化し、

彼の胸の上には立派なおっぱいが出来上がってしまうw。

主人公は彼と抱き合い、自分の不安を打ち明けることで、

心理的な安らぎを得ることができ、束の間の"休息"、つまり睡眠をとることができた。

 

その後、集会にはある女性が参加するようになった。

彼女の名前はマルロー作中で鍵を握る人物になる。

Marla Singer, Fight Club in 2020 | Fight club marla, Helena bonham ...

 

主人公にとっては彼女の存在は目の上のタンコブで、

彼女のせいで唯一の安らぎの場であった集会での時間が悪夢へと変わった。

 

ある時、教会での集会で彼はマルロに話しかける。

 

「君のせいで迷惑している。頼むから俺の居ない日に会に参加してくれ!」

 

彼女はしびしぶ了解し、それを口実に彼女から連絡先を聞くことに。

なーんだ。"迷惑してる"っていうのはつまりこういうことだったのかw。

 

その後も主人公は不眠症に悩まされ、更に症状が悪化していった。

目を覚ますと飛行機で別の街に着いているといったこともざらだった。

ある時いつも通り飛行機に搭乗していると、石鹸売りだと言う男"テイラー"に合う。

2人は何となく会話をし、主人公は彼から名刺を受け取る。

 

飛行機から降りて主人公は自宅に着いたが、

自宅に着くと不運なことに自宅が全焼。

 

絶望しながらも飛行機でテイラーという男から名刺を貰ったことを思い出し、

彼に電話し、行きつけのバーで待ち合わせすることに。

 

バーに着いてお酒を飲んで仕上がったテイラーは何故か

「殴り合いをしようぜ」と主人公に提案。

主人公も何故か乗り気「いいアイデアだな」と誘いに乗る。

 

f:id:kazukirussia:20200428181757p:plain

その後、帰る場所の無い主人公はテイラーの家に住まわせて貰うことに

テイラーの家はおんぼろの一軒家で周り住んでいる人間は居ない。

雨の日には屋根から雨漏りするし、地下には常に水は溜まっているしで、

基本的に普通の人間が住めるような環境では無かった。

 

しかし、テイラーという親友を得てからの主人公はまさに怖いもの無し。

毎週金曜日にはバーに集まり殴り合いの喧嘩をし、

時間が経過するにつれて主人公の服装や所作に変化が出てくる。

普通の、いやむしろ中々良い仕事場で働いていた主人公であったが、

歯が折れ、顔がアザだらけになってもそれを気にも留めなくなっていた。

 

その後、テイラーと主人公は"Fight club"という喧嘩の地下組織を開設し、

毎週金曜日にはそこでメンバーたちと集まり、喧嘩に明け暮れることに。

このクラブにはいくつかの規則があり、簡単にまとめると以下の三点。

  1. クラブの存在について口外しない。
  2. 喧嘩には勝ち負けは無い
  3. クラブでやっている活動について詮索しない

といった内容で、メンバーはウェイターや警察官、会社員など、

様々な社会グループから参加していた。

 

そんな時、電話マルローから電話が掛かってくる。

マルローのことを気になっていた主人公だったが、

そのことを認めていなかった彼は電話の受話器を置く。

しかし、この時に不可解なことがあった。

一日間自分が何をしていたのかの記憶が無く、

何故かテイラーの部屋からマルローが出てきたのだ。

 

「どういうことだ。確かに俺は受話器をあそこに置いて。。。」

・・・彼の中で全て合点がいった。

 

主人公が受話器を置いた後、

その様子を見ていたテイラーは受話器を取り、

マルローの居場所を聞き出してから事に及んだのだ

その後テイラーは頻繁にマルローを家に呼び込むようになる。

自分に正直になれない主人公は

彼女のことを自宅に頻繁に招き入れ、

彼女と事に及ぶテイラーに対してイライラを募らせながらも、

何も出来ずに傍観していた。

 

日々の退屈な生活から解放してくれるクラブの運営を

心から楽しんでいた主人公ではあったが、

クラブの運営費が問題になってきた。

当座のところ"無料"でやってきたクラブだったが、

そろそろ活動規模を拡大したいと考えていた。

 

そんな時、何を思ったのか主人公は自分のボスの部屋に行き、

自分に職場にあるpcと機材の持ち出しとテレワークを認めてくれと頼む。

(ロックダウンの今の世の中じゃテレワークの方が一般的ですけどね)

またその際、「それが出来ないようならあんなの秘密をばらす」と脅す。

 

もちろん「そんなことはできない」と却下し、クビを宣告するボスだったが、

主人公は「そっちがその気ならこちらにも考えがある」と何か意味深な様子。

すると彼はいきなり自分のことを殴り、事務所を滅茶苦茶にする。

駆け付けた警備員が見たのはネクタイを掴む上司と血だらけの主人公の姿。

見ただけではどちらに非があるのかは明白だった

 

そんなこんなで不労所得と機材を得た二人は

クラブを使ってより大胆な作戦に打ってでる。

 

例えば、毎週金曜日のクラブの終了時に"指令"として、

高級外車をハトのフンまみれにしたり、バットで車を壊したりと、

段々と"指令"の内容もエスカレートしていった。

 

彼らの活動は恐れることを知らず、

クラブの摘発を宣言した警察署長をトイレで拘束して

「これ以上クラブを詮索したら金玉切るぞ!」と脅したり、

街のモニュメントを破壊したりもした。

 

クラブの活動拠点はバーの地下から二人の自宅にも及び、

さながら軍隊のような規律でメンバーを統率していった。

その様子を心配した主人公であったが、テイラーの行動力に

押されて何も言えないし、規則③のせいで彼が何をしたいのかも聞けずじまい。

 

そんな中、テイラーが忽然と姿を消す。

 

正直、クラブの活動内容と将来について何も知らない主人公は、

自宅で居座るメンバーといつ終わるのかもわからない生活を続けることに。

しかし、途中から参加していたボブが警官に撃たれて死亡。

Then and Now: Photos of the cast of Fight Club 20 years later ...

ショックを受ける主人公だったが、

メンバーたちの反応は冷淡。むしろ組織のために死ねて幸栄だと言わんばかり。

友達を失った主人公が「人殺し!」と叫ぶが、もはや誰の耳にも彼の言葉は届かない。

そんな時、テイラーの寝室に数多くの旅券を見つけ、彼を追って飛び回る。

しかし、そんな中で不可解な状況に何度も出くわした。

自分は初めて来たつもりの土地でもみんな自分のことを知っているのだ。

頭が混乱してきた主人公であったが、よくよく自分の行動を思い返してみると

テイラーなんてどこにも居なかった気がしてくる。「どういうことだ。」

 

マルローにこのことを相談してみると、

「あなたは病人よ。早く医者に診てもらって!」との一言。

ここでマルローの登場シーンでの彼女と主人公のやり取りを

見直してみると「なるほどな!」と思うシーンがいくつもある。

例えば、テイラーと主人公は会話しているシーンで、

マルローはしきりに「誰と話しているの?」と質問しているし、

マルローが彼の家に来た際にも「テイラーは消えた」と言った主人公に対して、

訝しげに「どういうこと?」と聞き返し、怒って帰るシーンなど。

作中で彼女は「薬中で馬鹿な女」というレッテルが張られているのと同時に、

主人公の見ている妄想と現実を繋げる橋渡し役になっている。

(実は作中の登場人物の中でマルローが一番まとも説)

つまり、テイラーは主人公の2人目の人格で、

主人公はずーっと存在しない相手と会話し、

クラブの運営、犯罪行為の斡旋などをしていたのだ。しかも無自覚で。

 

最後のシーンでは、

最初の回想シーンに戻り、爆破をしようとしたテイラー(以下第二人格)と

主人公が戦い(実際には自分で自分を殴りまくっているw)、最終的には

テイラーに敗北し、拘束されている。

しかし、何とかテイラーから拳銃を奪った彼は、

テイラーからの呪縛から逃れるために自らに引き金を引く。

 

するとテイラーの姿は消え、爆破準備から戻ってきたクラブメンバーと会う。

そこにマルローも彼らに連れてこられ、最後は周辺のビルを爆破している

光景を見ている二人の姿で映画が終わります。

 

*まとめ

結局の所、この映画は何だったのでしょうか。

もしかしたら全てが精神病者の戯言だったのかもしれないし、

本当に自分が作り出した人格が犯罪組織を作り、

社会に対する鬱憤を晴らしていたのかもしれません。

主人公は作中で頻繁にテイラーに反抗していましたが、それは本心でしょうか?

もし"道徳"や"規則"、"法律"なんてものが無かったら、少なからぬ人々が

テイラーのような軍隊を作り、自分の喜びのために行動しようとするのではないか?

主人公の二重人格に対してはそのようなことを感じた。

また、クラブのメンバーについて。

彼らは本当に生活に困っていたり、社会に不満があったのでしょうか?

どちらかというと"退屈な日々"や"理想と現実の乖離"に対して何となく不満を

抱いていた人々が"非日常"を提供してくれるクラブに魅力を感じ、

結果的にクラブでの活動が自己実現の手段になってしまったのではないでしょうか?

彼らの行動はもちろん違法行為だし、許されませんが、

今の社会にもしこのような"クラブ"が存在していたのなら、

やはり多くの人々がこれに熱中して、洗脳され、犯罪に及んでしまうのではないか

と色々と考えさせられました。

 

次回のブログに続く。

 

ブログ村に参加しています。

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村