ロシア生活ーРусская жизньー

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ロシア政権による野党党首の毒殺未遂事件

野党勢力のリーダーが毒を盛られて危篤?                   

先月の20日にロシアからショッキングなニュースが届いた。

何とロシアのプーチン政権の指令で

野党党首が毒を盛られ、集中治療室で治療中であるそうなのだ。

 

今回のブログではノワリヌィ氏の出自を語りつつ、

なぜ今回のような事件が起きたのかを考察していきたいと思う。

 

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渦中のアレクセイ・ノワリヌィ氏

 

以下はロシア語版のWikipediaからの引用文

Отравление Алексея Навального, российского оппозиционного лидера, юриста, политического и общественного деятеля, главы Фонда борьбы с коррупцией, было зафиксировано утром 20 августа 2020 года. Он совершал перелёт рейсом S72614 авиакомпании S7 Airlines из Томска в Москву (аэропорт Домодедово). Во время полёта Навальному стало плохо, он потерял сознание. Самолёт совершил экстренную посадку в аэропорту Омска. Навальный в состоянии комы был доставлен в отделение токсикореанимации городской клинической больницы № 1 г. Омска[ℹ 1] и подключён к аппарату искусственной вентиляции лёгких. Два дня спустя Навального перевезли на лечение в клинику «Шарите» в Берлине. 7 сентября 2020 года «Шарите» сообщила, что Навального вывели из искусственной комы и он начал реагировать на речь[5][6], а 14 сентября — что он отключён от аппарата ИВЛ и может ненадолго вставать с постели[7].

2 сентября Федеральное правительство Германии со ссылкой на исследования, проведённые спецлабораторией вооружённых сил Германии, заявило, что Навальный был отравлен боевым отравляющим веществом из группы «Новичок»[8]. Позже отравление «Новичком» со ссылкой на результаты собственных исследований подтвердили Франция[9] и Швеция[10][11][12]. Германия также заявила, что использование «Новичка» является «грубым нарушением» Конвенции о запрещении химического оружия и обратилась за технической помощью к ОЗХО[13][14]. Группа экспертов Технического секретариата ОЗХО осуществила забор биологических проб Навального и передала их для анализа в уполномоченные лаборатории ОЗХО[15].

Отравление Навального вызвало международный резонанс. Канцлер ФРГ Ангела Меркель, президент Франции Эммануэль Макрон, премьер-министр Великобритании Борис Джонсон, глава дипломатии Европейского союза Жозеп БоррельВерховный комиссар ООН по правам человека Мишель Бачелет и главы МИД стран «Большой семёрки» призвали Россию провести прозрачное расследование, установить и привлечь к ответственности виновных в преступлении. Ангела Меркель выступила с заявлением, в котором назвала покушение на жизнь Навального попыткой заставить его замолчать, «преступлением против основных ценностей, за которые мы выступаем». Борис Джонсон, в свою очередь, заявил, что отравление Навального «потрясло мир» и назвал «возмутительным» использование Россией химического оружия. Франция приостановила стратегические переговоры с Россией на время выяснения обстоятельств отравления и отменила визит министров иностранных дел и вооружённых сил в Москву[16]. В Евросоюзе обсуждают введение санкций против России, в частности, заморозку строительства «Северного потока — 2» и создание «списка Навального», в который предлагается включить фигурантов расследований Фонда борьбы с коррупцией[17].

Российские власти категорически отвергают все обвинения в свой адрес и отрицают сам факт умышленного отравления «берлинского пациента», утверждая, что в анализах, проведённых в России, никаких ядов выявлено не было. В Генпрокуратуре РФ заявили, что не видят оснований для возбуждения уголовного дела по факту произошедшего, так как нет «каких-либо данных, свидетельствующих о совершении умышленных преступных действий в отношении Навального»[18][19]МВД России провело доследственную проверку[20]. В команде Навального считают, что он был отравлен по приказу президента России Владимира Путина[21].

 

*本文要約

ロシア野党党首であり、弁護士、政治・社会活動家、また汚職撲滅委員会会長である

アレクセイ・ノワリヌィ氏が8月20日トムスク発モスクワ着の飛行機に乗っている

途中で急に意識を失い、緊急着陸したオムスク市内の病院に搬送された。

搬送から二日後にはドイツの病院に搬送され、集中治療室で治療を受けていた。

9月2日、ドイツ政府はロシア政府に対して事件の真相解明と詳細な説明を求めており、

政府の鑑識の結果、旧ソ連の「ノヴィチョク系」の毒物が使用されたという。

 

9月7日にノワリヌィ氏は危篤状態を脱し、言語に対し反応できるほど回復し、

14日には人工呼吸器を外し、少しの時間立てるようにまで回復したという。

 

この一連の事件に対して、欧米各国からは非難の声が集まっている。

代表的な所で言うと、イギリス首相のボリス・ジョンソン

フランス大統領のエマニュエル・マクロン、ドイツ首相のアンジェラ・メルケル

などその他多数の国際機関の代表などがロシア政府に対して説明を求めている。

 

また、今回の「ノヴィチョク系」の薬物の使用は、

各国間で結ばれている化学兵器禁止条約に抵触する疑いがあり、

そのことも国際的なロシア政府に対する批判が強くなっている原因である。

(現在、この化学兵器禁止条約に加盟している国は192か国で、

 兵器の開発・生産・保持・使用を包括的に禁止する条約)

 

ちなみに、プーチン政権は事件への関与を完全に否定しているが、

ドイツとの合同事業である石油パイプライン建設計画の凍結や

フランスの外相・国防相の相次ぐ公式訪問の中止など、

今後のロシア政府の対応次第で多くの経済的・外交的な問題が

発生、または長期化することが予想されている。

 

*事件のいきさつに見る疑問と不明確な点                    

以上の事件のいきさつをみて疑問を抱く人は少なくないだろう。

私が個人的に抱いた疑問は?主に以下の4点。

 

①なぜノワリヌィ氏が標的にされたのか?

②毒物は一体どこで混入したのか?

③「ノビチョク」とは一体どんな毒物なのか?

④現在のノワリヌィ氏の容態はどうなのか?

 

ここからは疑問点別に資料を参考にしながら、

私なりの考えや結論をシェアしていきたいと思います。

 

①なぜノワリヌィ氏が標的にされたのか?

 

それではまず同氏の出自と政治的な姿勢、またロシア国内における

彼と彼の率いる政党に対する評価は一体どういったものなのかを考察したい。

 

(1)同氏は1976年6月4日にモスクワ州で軍人の家庭に生まれ、

   1997年に法学部、2001年に経済学部を卒業した。

   卒業後は個人で事業を開始したが、うまくはいかなかった。

   しかし、彼は政治家としての頭角を徐々に現していくことになる。

   2004年には「モスクワ市民を守る会」を組織し、

   同組織は100以上の政治集団を擁する団体にまで成長した。

 

   私生活では妻であるユリア・ノバリナヤと結婚し、

   息子と娘が一人ずついる。

 

   彼の政治思想は一貫して「汚職や腐敗政治の摘発と是正」である。

 

   代表的な政治活動を挙げると、

   2010年には「РосПил(ロスピル)」などを組織し、

   700億ルーブル(9月24日時点で1ルーブル1.36円なので約952億円)

   にも上るロシア政府の予算の一部大企業や利益団体への不正を摘発し、

   法廷で法律違反であることを認めさせた。

 

           2011年にはロシアの多数与党である

   「Единная Россия (統一ロシア)」を「泥棒」や「詐欺師」と批判し、

   それ以外の党に投票することを呼びかける委員会を設立、

   また、2012年には公務員が公費で高級外車を購入していたことを批判し、

   10万人もの署名を集めた連署で議会に要望書を提出。

   結果として、公務員の204万円以上の高級外車の購入は禁止され、

   上記のような公務員や一部政治家による公費の不正利用に関して

   ロシア国内で一種のムーブメントを巻き起こした。

   

   2017年にはドキュメンタリー映画「Он вам не Димон」で

   ドミトリー・メドベージェフ元首相と政権の内部の人間が、

   不正に横領したお金で大型船や別荘などを購入していたことを告発し、

   同映画はロシア全土で2,000万人以上の観客を動員した。

         

           こうした一連の活動の中で政権に対する信頼は失われつつある。

 

           既に2018年に行われた出口調査プーチンに好意的か、否定的か」の中で、

   プーチンに好意的な人々は30%程度しかいなかったことがわかっている。

           一方でノワリヌィ氏の支持率はというと。。。

   詳細な数値が出ていないというのが現状だが、

   YouTubeのチャンネル登録者数が400万人、

   Instagramのアカウントの登録者数が220万人もいるという事実を

   鑑みれば、彼の国内における支持率は相当高いと見られる。

   実際に反プーチン派の人なら誰でも彼のことを知っていると

   自分のロシア人の友人も語っています。

 

 (2)どのように毒物が混入したのか?

    毒物の混入経路については長らく様々な憶測が飛び交っていた。

    コーヒーに混入していた。実は奥さんとは疎遠で彼女が毒物を混入したなど。

    しかし、最近明らかになったのはロシアで有名なミネラルウォーターである

    Святой Источник(スヴィトイ イストーチニック)のボトルを毒物混入

    させた物と入れ替えて毒殺しようとした説が濃厚で、

    具体的な犯人についてはロシア人であろうことしか明らかにされていない。

 

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毒物混入に利用されたとされるミネラルウォーター

    

  (3)使用されたノビチョク系の毒物だが、

    この毒物はソ連において1971年から1993年にかけて開発された神経剤。

    サリンを含むVXガスと比較しても5-8倍もの強い毒性を持つ。

    元は「フォリアント計画」という安全かつ検知されない強毒性の

    ある毒物を化学兵器として開発するという計画の下で開発された。

    実際に化学兵器として使用されたことは無いとロシア政府は主張するが、

    2018年の3月にイギリスで起きたロシアの元スパイの殺害に使用された

    疑惑がある。

 

  (4)現在の彼の様態は一応自立して生活ができるものの、

    毒物の後遺症で言語・認識能力に異常が見られるという。

    今後の彼の政治活動については健康上の理由から厳しいかもしれないが、

    彼の牽引する汚職撲滅委員会やチームのメンバーは黙ってはいないだろう。

    何よりもこの事件が彼を支持していた人々を政権打倒へと駆り立て、

    また、今まで政治に無関心であったり、政権を支持していた人々の多くが、

    「反プーチン」に傾くことは必至だろう。

     

 

以上の考察から導き出せる結論はプーチン政権の終焉と

より民主的で、市民に寄り添う政権が誕生するのではないかという希望的観測だ。

長年のプーチン政権による強権的な政治は過去のものとなり、

長らく問題視されている給与水準の低さや生活環境の悪さなど

市民の生活そのものの質が問題視され、それを改善する政党が次の政権を握るだろう。

 

ロシア国民が平和でより幸せな社会に暮らすことが出来るように、

僕も微力ながら祈りたいと思います。

 

今回のブログは以上です。

 

Kazu