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【コロナ期間映画評論】ハンニバル・ライジングを視聴して

*まとめ

コロナで外出規制をしている中、今日も一本の映画を視聴した。

映画では猟奇殺人鬼である"ハンニバル・レクター"の誕生秘話が描かれている。

正直、シリーズ四作品の中で初めて見た作品だったので、レクター博士

キャラクターに感情移入というか、没入感はあまり無かった。

とはいえある少年が殺人鬼の変わりゆく様を見るのはスリリングで、

主演のギャスパー・ウリエルの冷徹で不気味な笑みが脳裏から離れない。

 

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*あらすじ

舞台は第二次世界大戦期のリトヴィアで、ある城主のその一家が

戦火から逃れるために逃亡するシーンから物語は始まる。

山小屋で隠れていた一家であったが、不幸なことに目の前で

ロシア軍とナチスドイツ軍が戦闘を開始し、

ハンニバルと妹のミーシャだけが生き残ってしまう。

ハンニバル・ライジング - kinemato

 

その後、残党のドイツ軍人が不幸なことにこの山小屋を見つけ、

ハンニバルは必死に抵抗するも山小屋を占領されてしまう。

そして追い打ちをかけるように不幸だったのはそれが冬で周りに

食糧が不足していたことで、彼らは仲間内で日々の食糧不安のために

言い争いをするようになった。

 

そんな中、彼らが思いついたのが「カニバリズム

いわゆる人肉を食べる行為だった。

 

まだ幼く、寒さのために肺炎気味であったミーシャは

彼らに目を付けられ、ハンニバルの目の前で殺される。

ハンニバルはその後一生この時に感じた悲しみ、憎しみを背負って生きていく。

 

8年後、ハンニバルソ連領となった自分の元居城で軍隊の訓練を受けていた。

しかし、ハンニバルの頭の中には復讐と今の生活からの脱出しか無い。

日々繰り返される訓練でもやる気が無いために怒られ、上官にも目を付けられる。

毎晩ミーシャの最期の光景でうなされ、安心して眠れる晩は一晩たりとも無いようだ。

 

ある日、引き出しで自分の親戚の住む住所と写真を見つけ、

それを頼りに国境を抜け、親戚の住むフランスに到着した。

フランスでは未亡人となった日本人の親戚の女性が彼を迎えた。

聞くと、夫は戦時中に戦死してしまったようだった。

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香港女優のコン・リー

その後ハンニバルは彼女から剣道や日本流の作法や考え方を学び、

(描写が中国と日本の文化を混同しているようで興味深い)

しばらくは平穏な日々を暮らしていたが、ある時二人が市場に行った時に

食肉加工のお兄さんに彼女が馬鹿にされ、セクハラされたことに腹を立てた

ハンニバルは彼に襲いかかり、危うく殺されそうであった所を彼女に助けて貰った。

 

妹を失って以降、短気で自分の目的のためならば手段を問わない彼の行動は

徐々にエスカレートしていった。

何を思ったのか彼女の家に備えてあった日本刀を手に取り、

セクハラお兄さんを日本刀で襲撃し、祭壇に彼の首を供えた。

驚いた彼女だったが、なぜか彼のことを許し、捕まりそうになった彼をかばった。

 

その後彼は熱心に医学を勉強し、医学部で奨学金を貰えるほどまでになった。

 

そして彼は再びリトヴィアにある例の山小屋に帰り、

妹の遺骨や遺品などを回収した。

回収後、妹を殺した主犯格の男が彼を殺そうとするも、

剣道によって鍛え抜かれた反射神経は彼を凌駕していた。

男は木に縛り付けられ、他の犯人たちの居場所を尋問する。

最初こそ秘密を守っていた男も殺されそうになってようやく居場所を吐く。

しかし、ハンニバルははなから男を助けるつもりは無く、

ハンニバルは終始不敵な笑みを浮かべながら苦しみもがく男の姿を見届ける。

最期はセクハラお兄さんと同じく首を切断され、儀式的に遺体が処理された。

 

ウリエルの妖しさはまさに適任『ハンニバル・ライジング』レビュー 2枚 ...

 

ハンニバルにとっての"首の切断"は妹の死の回想シーンを連想させるものがある。

この一種の"儀式"は彼にとっての一種の贖罪なのか。

はたまた彼の嗜好なのかは不明だが、基本的に周りだけでなく彼自身も異常者だ。

後にも出てくる頬を削ぎ取るシーンは見てられないが、一連彼の行動は

彼ら犯人グループが彼に見せた妹の殺害現場からヒントを得ているに違いない。

犯人グループ誰よりも恨んでいる彼自身が彼らんと同じ醜悪で、下劣な存在に

物語が進むにつれて変化してしていく。

 

フランスに帰った彼だったが、早速犯人グループにこのことが共有される。

彼らは殺し屋を雇うがハンニバルに返り討ちにされ、溺死させられる。

 

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その後リーダー格の男の殺害を試みるも自宅を爆破させるにとどまった。

怒ったリーダー格は未亡人を人質にとってハンニバルを挑発する。

しかし、ハンニバルは相手の電話してきた場所をすぐに突き止め、

クルーズ船の中で戦闘が始まる。

不意打ちで背中から撃ち抜かれるハンニバルだったが、

背中に指していた日本刀と防弾チョッキが致命傷を防ぎ、

リーダー格の男を今度はハンニバルが馬ノリになりながら短刀で切りつける。

この際、ハンニバルは彼から驚くべき事実を知らされる

なんとハンニバルは彼らと一緒に妹を"食べていた"というのである。

わかりやすく動揺し、むきになるハンニバルに対し、

「お前は自分の妹を食べたという事実を隠蔽したいだけだ」と指摘する。

愛していた妹が目の前で殺される光景、そしてそれを貪り食う男たち。

まさにこの世の地獄で、彼らは悪魔よりも下劣な存在だ。

しかし、自分もまさにその人間の"強欲さ"、"食欲"という抑えようの無い欲求を前に、

妹とは知りながらそれを食べてしまったのではないか。

 

そしてその時に彼の中で全てが壊れた。

 

今の彼は人間の皮を被った獣だ。

自分が何のために生きているのかもわからない。

なぜなら自分はまさにこのカニバリズムによって生かされているのだから。

きっと彼は心のどこかで自分の命を"復讐"という行為によって正当化したかったのだ。

そして物語の最期には最後の復讐のターゲットを殺し、車で帰っていく様子が写される。復讐を終えた彼の行き着く先が果たして地獄なのか、はたまた更なる底なしの地獄

なのかは他の三作を見てから判断をしたいと思った。

 

*まとめ

いかがでしたでしょうか。妹の復讐に燃えるハンニバルの堕落、

そして彼自身が犯人たちのように醜く変化していく様には衝撃を受けます。

もし私がハンニバルの立場にだったら、などと軽々しく言える作品ではないですが、

戦争というものが如何に人々の肉体や精神に深い爪痕を残すのかを教えてくれる作品。

次回作の視聴が今から楽しみです。

 

次回のブログに続く。

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